そんな時、精神科病院実習で教わったコミュニケーション技術や認知行動療法を、子どもに対しての関わり方に取り入れてみたところ、精神的にとても楽になったので、是非皆さんにも御紹介したいと思います。
子育てに正解はないけれど、唯一目指す共通点があるとすれば、親子共に「辛い、しんどい」ことを減らしていくことではないでしょうか。
目次
子育てのイライラを分析する
こどもと過ごすという事は、幸せなことばかりではなく、なかなか思うようにいかずイライラすることも多々あるかと思います。
解ってはいるけれど・・・
よく、「相手の態度を変えたければ、自分が先に変われ」とか、相手にしてほしいことがあるならば、自分がそれをしていれば、ゆくゆく相手もしてくれるようになるものだ」とか言われますよね。
頭では解っているのですが、実際の方法はよくわからず、なんか自分が我慢しているばっかりで状況変わらなくない?と感じていました。
結局、こんなに我慢しているのに相手は変わらないのだから、原因は、子どもにあるんじゃないかとさえ考えてしまいました。
確かに、(いつもではありませんが)長女は幼稚園に通いだしてから言葉使いも悪くなり、もともと口が達者だったこともあり、とても許されないような物言いをしたりしすることがあります。次女は発達障害を疑うほどこだわりが強く、癇癪をよく起す時期もありました。
私は子育てに向かないのではないかと思う事も多々ありました。
精神科病院実習で学んだテクニック
オウム返し
精神科実習では、精神科看護の技術として、患者さんの言葉に対して、こうしたらいいよというアドバイスや答えを返すことはあまり求められておらず、患者さんが話してくださる言葉をオウム返しします。
オウム返しすることで、「この人は聞いてくれている、解ってくれている」という安心感が生まれ、落ち着いてもっと話してくれたり、信頼感にもつながるのだそうです。
看護師が何か指摘するのではなく、患者さんが自分自身のを話しをしながら、自分で自分の問題点に気付いて、解決していかれるように関わっていく、ということが精神看護なのかな、とまだ学生であるあだ子ですが、現時点ではそのように感じています。(看護感も子育てと同じで、人それぞれいろいろな考え方があり、正解は一つではありませんが。)
因みに、オウム返しってどんな感じかといいますと・・・
普通の会話の場合
というように、普通次の会話に進行していきますよね。
オウム返しの場合
相手の言葉を一旦うけとめて、復唱するだけ。沈黙を埋めようと無理に会話を繋げず、相手の言葉を待つ感じ。
子どもの癇癪にもオウム返しで対応!
このオウム返しを意識して、子どもが『キーーー!!ッ』となっているときなんかに試してみると、だんだんと相手が落ち着いてくるのがわかりました。
何より、こちらも相手の感情にひっぱられずに、どこをオウム返しするかに集中している間に子どもが落ち着いていることが増えました。
他にも使える場面は、こちらが夕食の準備で忙しい時に始まる「聞いて聞いて攻撃」に対しても使えます。
オウム返しすると、ちゃんと聞いてもらっていると満足するのでしょうか。
ただ、「これは本気で聞かなければならないな」という事は「ちゃんと聞きたいから、ご飯の時に、ゆっくり聞かせてね。」といいます。
認知のゆがみテスト
次項のプロセスレコードを解説する前に、認知のゆがみについて解説しておきます。
ここでの認知とは「事実の受け取り方」とします。
自分がどんな思考パターンをもっているのか、くろ太と一緒にテストしてみましょう。
【質問】学生時代に仲の良かった友人に食事の誘いのメールをおくったが、3日間返信がこない。あなたはどんなことが頭に思い浮かびますか?
【思考パターン】
- 白黒思考
- 悲観的思考
- 他人の考えを邪推する
- べき思考
- ラベリング思考(自分や周りの人に偏見を持つこと)
- 過小評価
認知と感情を分ける。感情を変えるのは難しいが、認知は変えられる。
物語(妄想)を作らずに、現実的に他に考えられることをどんどん挙げていくことで対応を柔軟に!
4日目に返信があり、なんと友達は、お母さんに携帯を没収されていたというのが落ちです(笑)
プロセスレコード
認知のゆがみが何となく解ってきたところで、いよいよプロセスレコードの解説に入ります。
(※看護学校の授業内容を元に、子育てに置き換えやすいように一部手を加えた内容になっております。)
これはセルフ認知行動療法というもので、相手とのやり取りで印象に残った場面、もやもやが残った場面を取り上げて、以下の4項目を用紙に順番に記入していき、振り返るものです。
- 相手の言動と行動
- 自分が感じたり考えたこと
- 自分が発言したこと、取った態度
- 分析
手順は以下の通りです。
- 時系列で番号を振って、やり取りを書いていく。
- 少し間を置いてから、他人事のように読み返す。
- 相手の言動だけ読み返す。
- 自分の感情をすっ飛ばして言動だけ読んでみる。
- 二人の会話部分だけを読む。
- 最後に相手の立場になって、自分ならどういう思いでその言動や行動をしたのかを考察する。
いろいろな方向からその場面を振り返ることが大切です。
これは相手を分析するというよりは、自分の思考パターンや認知のゆがみ、コミュニケーションを分析をするものです。
これを実際の子育てでやってみると
- 自分の発言の奥にはこんなに思いがあったのだけれど、この言い方では伝わらなかったのではないだろうか。
- 相手の言動や態度に対して、相手の気持ちや思いを決めつけていたのは自分だったのではないか。
- 物事に感情が上乗せされていて、事実が見えにくくなっていたのではないか
- その時には見えなかった相手のが相手はこんな気持ちがあったのではないだろうか。
ということが見えてきます。
次に、最近ばーばと次女の間に起こった問題を、実際にプロセスレコードに当てはめて解説していきますね。
ばぁばの事例
この場面からわかること・・・
確かに、次女はばーばがいないとYoutubeが見れると喜んだり、ばーばが来たときはYoutubeが見れないと残念そうなリアクションはしていました(笑)
しかし、次女の欄だけ読んでみると・・・どうでしょう、ばーばが帰ってほしい、ばーばがいない方が良いとは一言も言っていないですよね。
単純に、我慢していたYoutubeやっと見れる!と喜んでいるだけなんです。
それって、したいことを我慢させていたのだから、素直な子どもの当たり前のリアクションだと思います。
事実はそれだけなんですよね。
そこに「私は一生懸命子守りをしているのに」という感情が乗り、「私のことが嫌なんだ」という憶測がついて、さらにその憶測についての感情がどんどん膨らんで、今回ばーばが怒ってしまったのがわかります。
まさに認知のゆがみが起きていると思います。
怒ったことが良い悪いという事よりも、自分は何に引っ掛かりを感じたり、怒りを感じたのかを見つめることで、新たな自分の一面を発見することができます。
この事例の場合、「否定されることに、自分は反応したんだな」と、怒りを感じたポイントがわかったことから「自分は、人に認められることに価値を置いている」のかもしれないという自分の価値観も発見することができます。
書き方としましては、時系列で番号を振っていき、必ず言動や行動の直前の感情を思い出してみることから始めます。最初は難しいですが、慣れると面白いです。
怒りを感じる場面こそ自分を発見するチャンスなので、楽しみになってきたりします(笑)
これと近いもので、セルフカウンセリングの本があります。
渡辺康麿氏著書の「わかっていてもイライラするお母さんへ」という本なのですが、精神実習が終わった後に読み返したところ、このことか!とストンと入ってきました。
よろしければ、プロセスレコードのPDFを作ってみましたので、書いてみてください。
慣れてきたら、モヤモヤした場面ばかりではなく上手くいった場面も取り上げて、何故上手くいったのかも分析してみると、上手くいくパターンの発見があるし「案外私子育て上手かも?」なんて前向きになれるかもしれません(笑)
今回は、自分の隠された本当の気持ちや価値観、思考と認知のゆがみを分析する一つの方法をご紹介しました。
相手のあることなので、毎回上手くいくわけではないですがイライラモヤモヤも自分の大切な感情なので、無視したり我慢したりしないで見つめていけたら良いなと思います。
たまには逃げ出したくなるくらい嫌になることもありますが(笑)子育ては、簡単なものではないからこそ意味のあるものなんだと前向きに捉えて、是非一緒にトライしてみましょう。